森のこーひーたより~生産者の顔と声~ 森のコーヒー生産者のコーヒー農園へ訪問した時の現地の様子やコーヒーへのこだわり、パートナーの皆さんの暮らしをレポートします。

こーひーたよりvol.237

「森のコーヒー生産者グループ」のジョン・ネットさんは、もう6代続いているコーヒー農家です。最初からこのサンパウロ州モコカの地でコーヒー栽培を続けられています。

歴史のある農家は皆そうかも知れませんが、ジョン・ネットさんも、ご自分の家系には大変なプライドをお持ちです。私も、「サント・アントニオ農園」を訪問する度、夕食のあとに、ジョン・ネットさんの家系の話を聞かされます。

「サント・アントニオ農園」の正式名称は、”Fazenda Santo Antonio da Agua Limpa” で、Jose Cristovam de Lima(ジョゼ・クリストーヴァン・デ・リマ)という人が創立者です。ジョン・ネットさんの名前も、Joao Pereira Lima Netoが正式名ですから、Lima(リマ)が一族の名前なのですね。

「サント・アントニオ農園」の正式名についているAgua Limpaというのは、“きれいな水”という意味です。たしかに、「サント・アントニオ農園」は、今でも水源が農園内にあり、その豊富で、清浄な水を使用できるのが、この農園の強みです。

ジョン・ネットさんが説明してくれる、この長い長い家系図をみますと、創立者のジョゼさんが生まれたのが1798年ですから、もう200年以上前の話です。

弊社・カフェーパウリスタも創業110年ですが、歴史の長さでは「サント・アントニオ農園」には負けます。


こーひーたよりvol.236

「森のコーヒー生産者グループ」のジョン・ネットさんの農園を訪問した時には、かならずジョン・ネットさんと一緒に、サント・アントニオ農園をくまなく見て回ります。

ジョン・ネットさんは、1990年代より全農園で農薬の使用を中止し、2001年より 農園にコーヒー以外の木を植えはじめ、農園を自然の「森」のようにしました。

そのように、農園を変えてきた理由をジョン・ネットさんに訊いてみると、

「コーヒーの家(この「家」(ポルトガル語で“カーザ”という言葉をジョン・ネットさんは良く使います。)は、森の中なんだ。特に背の高い木の木陰がいい、これは間違いない。 なぜなら、コーヒーが誕生したエチオピアでは、コーヒーは、“森”の中に生えているんだ。」

「ブラジルの大規模農園のように、森をすべて取り去って、そこにコーヒーの木だけ単作で植えると、コーヒーの木に直射日光があたり、コーヒーの木にはすごいストレスになる。 だから、コーヒーの木が弱って、病虫害にやられる。そして、病虫害にやられると、人間は、農薬を撒く。さらにコーヒーの木が弱くなる。そうやって負のスパイラルに入ってしまう。」

「私は、2001年より、農園にコーヒー以外の木を大量に植え始めた。それは、化学肥料をやめて、森のもっているエネルギーをコーヒーに与えることを考えついたからなんだ。」

ジョン・ネットさんは、農園内のコーヒーの木を一本一本見てまわって、その健康状態をチェックしてゆきます。


こーひーたよりvol.235

「森のコーヒー生産者グループ」のジョン・ネットさんの農園を訪問した時には、かならずジョン・ネットさん、農園のスタッフと一緒に、その年に採れたコーヒーをカッピング(コーヒーの味見)します。

それは、私もジョン・ネットさんも農園のスタッフも、コーヒーにとって品質(味の良し悪し)が極めて重要だと思っているからなのです。

もちろん農薬不使用、化学肥料不使用などの安心・安全・サステナブルなコーヒーの作り方も、とても重要です。ですが、やはり人はおいしいコーヒーを飲みたいもの。おいしいコーヒーを飲むと、自然に笑顔がこぼれてしまうくらいです。

カッピングには、毎年、農園の管理責任者のOrlando Araujo da Silva Filho氏(いつもはオルランドと呼んでいます。)、次女のマルことマリア・ルイーザさん。そして、今年は孫のエデゥアルドが参加しました。

自分の作っているコーヒーが、どのような味の特徴があって、どのように評価されているか、を知ることはとても重要です。

そのために毎年私が、他の「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーのコーヒー、その他のブラジルのスペシャルティコーヒーのサンプルを持参して、「サント・アントニオ農園」のコーヒーの横に並べて比較してもらいます。そのような方法で、自分のコーヒーの風味特長、品質のレベルというものをわかってもらうのです。


こーひーたよりvol.234

「森のコーヒー生産者グループ」のメンバー、ジョン・ネットさんの農園「サント・アントニオ農園」に、私は年1回、収穫期である7月に訪問しています。

通常、収穫の時期というのは、実がなっている時ですので、花が咲いているとうことはありませんでした。しかし、最近の異常気象の影響か、昨年「サント・アントニオ農園」に訪問した時には、コーヒーの花が咲いていました。

カタカナで、コーヒーノキと書くと、それがコーヒーの木の正式な日本語名称です。アカネ科に属する常緑樹です。そこに生るのが、コーヒーチェリー(コーヒーの実)で、サクランボのような果実です。その果実の中にはいっている種が、コーヒー豆なのです。

コーヒーチェリーは、木の果実ですから、実になる前は花が咲きます。コーヒー豆からはちょっと想像できないような、とても愛らしい小さな白い花です。5つの花弁があり、ジャスミンのようなとても良い香りがします。

「花の命は短くて」と言いますが、コーヒーの花の命もたった2日で、その後散ってしまいます。コーヒーの花が一斉に咲く最盛期には、農園が雪景色のようい真っ白になり、とても幻想的な光景が広がるそうです。

ジョン・ネットさんは、農園回りをするときに、コーヒーの花を見つけると、必ず香りを嗅ぎます。私も、真似をして、香りを嗅いでみるとジャスミンのような、とても爽やかな良い香りがしました。


こーひーたよりvol.233

「森のコーヒー生産者グループ」のジョン・ネットさんは、コーヒー農園に、コーヒー以外のいろいろな木を植えて、農園を“森”のようにしました。

ジョン・ネットさんは、馬、豚、と多種多様な動物を農園に入れています。植物もそうですが、ジョン・ネットさんは、動物でも“多種多様”が好きです。いろいろな動物がいた方が良い。その方が、より“大自然”に近い。より多くのVIDA(ヴィーダ 生命)を農園に入れたい。 農薬に代表されるMORTE(モルチ 死)よりVIDAを追求する。

土の中の微生物にも、ジョン・ネットさんは注目しています。農薬を一切使用しないことで、地中に多種多様な微生物が棲息するようになります。もちろん目には見えないのですが、ジョン・ネットさんは、それこそ文字通り這いつくばって、農園の土を、その中にいる土壌微生物を感じようとしています。

土壌には多種多様の微生物が存在し、その数は1グラムの土壌に約100~1000万にもなると言われています。微生物は、他の微生物の生育を阻害する物質を出し、スペースの取り合いをしたり、餌を奪い合ったりしています。他方、お互いに共存するものもあり、増減を繰り返すことで、種類と個体数のバランスを保っています。これが土壌微生物の多様性です。

そうやって、毎日、農園の土に触れたり、匂いを嗅いだりしていると、土の健康状態がわかるようになるんだそうです。土壌微生物の多様性がある土は、健康な土だそうです。健康な土に生えているコーヒーの木も、また、健康になるとジョン・ネットさんは言います。


こーひーたよりvol.232

「森のコーヒー生産者グループ」のジョン・ネットさんは、5代続いているコーヒー農家です。最初からこのサンパウロ州モコカの地でコーヒー栽培を続けられています。

ジョン・ネットさんに昔の写真アルバムを見せてもらいました。そこに写っていたのは、ジョン・ネットさんの祖父の代の一族です。ブラジル一帯は、大自然のジャングルに覆われていました。農地を作り出すために、そのジャングルを開墾しているジョンさんの先祖の姿が、はっきりと写真に残っています。

この写真を見ると、なぜ近代農法が、ジャングルを完全に破壊して、コーヒーだけを単作で植えることを志向したのが、わかる気がします。昔は、ブラジルの自然があまりにも強大で人間が農業を行うには、まず、その大自然と対峙して、ジャングルを開墾し、森林を完全に取り去って、農地を作ることが必要だったのでしょう。つまり、自然をねじ伏せて、農業をすることが必要とされたのだと思います。

ジョン・ネットさんの祖父の頃のコーヒー生産者に、今、ジョン・ネットさんが行っている“森林農法”を見せたら、なんと言うでしょうか?

ジョン・ネットさんが言う「自然と共生する」というような考え方は、当時のジョン・ネットさんの先祖の方々には、きっと理解できないと思います。なぜなら、当時のブラジルの大自然は、人間にとって今よりはるかに恐ろしい存在であり、脅威だったからです。


こーひーたよりvol.231

「森のコーヒー生産者グループ」のジョン・ネットさんの農法は、農薬は一切使用しませんし、肥料もやりません。

「それで、よくコーヒーが収穫できますね。常識では考えられません。」とジョンさんに訊いたことがあります。

ジョンさんの答えは、

「森の力(ちから)を使うからさ。」

というものでした。

コーヒー発祥の地・エチオピアでは、コーヒーは、森の中に生えています。コーヒーは、日光を好む植物にもかかわらず、日当たりが強すぎると元気がなくなってしまいます。 森の中で生きることによって、他の背の高い木が、コーヒーのために日陰を作ってくれるのです。コーヒー農園の中に、いろいろな木や、動物や、昆虫、微生物が共生し、生き物の“森”を作ることにより、自然の生物ピラミッドができ、病害虫にも天敵ができることによって、特定の病害虫が、爆発的に発生することがなくなるのです。

ジョン・ネットさんは、毎日農園を回って、コーヒーの木の状態をチェックしています。


こーひーたよりvol.230

「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーの一人、エンリケ・スローパーさんは、有機栽培の中でも、一風変わった“バイオダイナミック農法”という農法でコーヒーを栽培しています。

“バイオダイナミック農法”は、ドイツで神智主義のルドルフ・シュタイナーが提唱した農法で、農薬と化学肥料を使用しないのは勿論のこと、土壌と植物、動物の相互作用だけでなく、天体の動きにも着目した農業を行います。農薬や化学肥料は使用せず、地球に生きるものは太陽や月の満ち欠け、惑星などに関係があるという考えから、宇宙のリズムに基いた農業をします。

エンリケは、この“バイオダイナミック農法”で作る、有機栽培のコーヒーづくりにとても情熱をもっています。いわゆる“熱さ”を表に出すタイプではないので、多くは語ろうとはしませんが、私は長い年月の付き合いの中で、エンリケが“バイオダイナミック有機農法”が最高の農法と信じ、この農法を彼の近隣のコーヒー生産者にも伝えたいと思っていることを知っています。

エンリケは、もう何年も、近隣のコーヒー生産者に“バイオダイナミック農法”を教えてきていますが、いまだにエンリケのように成功している生産者はいません。それは、ブラジルで、有機栽培でコーヒーを生産することが非常に難しいからなのです。

先月ご紹介した「コーヒーチェリーティー」の開発も、実は、エンリケのこの、なんとかもっと多くの農家に“バイオダイナミック農法”で有機コーヒーをつくってもらいたいという願いから出ているのです。(有機でコーヒーを作り、いままで肥料にしてきた果皮・果肉もコーヒーチェリーティーとして販売できれば、農家の収入が上がるからです。)


こーひーたよりvol.229

「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーの一人、エンリケ・スローパーさんは、有機栽培の中でも、一風変わった“バイオダイナミック農法”という農法でコーヒーを栽培しています。“バイオダイナミック農法”は、ドイツで神智主義のルドルフ・シュタイナーが提唱した農法で、農薬と化学肥料を使用しないのは勿論のこと、土壌と植物、動物の相互作用だけでなく、天体の動きにも着目した農業を行います。農薬や化学肥料は使用せず、地球に生きるものは太陽や月の満ち欠け、惑星などに関係があるという考えから、宇宙のリズムに基いた農業をします。このエンリケさんの農園が“カモシン農園”です。

今、このカモシン農園で、銀座カフェーパウリスタも巻き込んで、新たな商品の開発が進んでいます。それは「森のコーヒーチェリーティー」。コーヒーの果実(コーヒーチェリー)は、コーヒーの木に生る果実です。その果実の中にはいっている種(たね)が、皆様が飲まれている“コーヒー”なのです。(正確には、種を焙煎したものです。)コーヒーの果実の場合、いままでは、種だけを人間が利用して、果肉・果皮の部分は捨ててきました。(正確には肥料として再利用してきました。)

今回、このコーヒーノキの実の果皮・果肉の部分を“ティー(お茶)”として商品化できないかと、エンリケと共同開発しているのです。名づけて「森のコーヒーチェリーティー」です。この「森のコーヒーチェリーティー」は、ポリフェノールを豊富に含み、その抗菌作用からアンチエイジング作用や糖尿病予防効果があると言われています。味は、フルーティで、チェリー、ベリー、プラムを想わせるおいしいお茶です。


こーひーたよりvol.228

「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーの一人、エンリケ・スローパーさんは、有機栽培の中でも、一風変わった“バイオダイナミック農法”という農法でコーヒーを栽培しています。

“バイオダイナミック農法”は、ドイツで神智主義のルドルフ・シュタイナーが提唱した農法で、農薬と化学肥料を使用しないのは勿論のこと、土壌と植物、動物の相互作用だけでなく、天体の動きにも着目した農業を行います。農薬や化学肥料は使用せず、地球に生きるものは太陽や月の満ち欠け、惑星などに関係があるという考えから、宇宙のリズムに基いた農業をします。

カモシン農園には、ホベルタ・トレーズマンさんという、バイオダイナミック農法の専門家が常駐しています。彼女は、ブラジルのボテゥカテュにあるバイオダイナミック研究所の本部で、研修をしたバイオダイナミックの専門家です。今回、私が、エンリケさんの農園“カモシン農園”を訪問したときに、ホベルタさんからバイオダイナミック農法の具体的な方法について、いろいろと教えてもらいました。

その中でも、とても目を引くのが、ポルトガル語で“ジナミザサゥン”と呼ばれる「調合剤作り」です。牛の角に牛糞をつめて、冬の間大地に寝かせて春を待ちます。そして春に掘り上げたこの調合剤の元と水を樽の中に入れて、攪拌します。この攪拌を“ジナミザサゥン”と呼んでいます。

攪拌は、右回しを20秒、左回しを20秒、それを1時間繰り返し、1時間たてば完成。この「調合剤」(プレパレーション)をコーヒー農園に撒くのです。


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