森のこーひーたより~生産者の顔と声~ 森のコーヒー生産者のコーヒー農園へ訪問した時の現地の様子やコーヒーへのこだわり、パートナーの皆さんの暮らしをレポートします。

こーひーたよりvol.248

私は、「森のコーヒー生産者グループ」のジョン・ネットさんの農園「サント・アントニオ農園」をコーヒー収穫の時期に訪問します。

朝、昼と農園をジョン・ネットさんと一緒に見回るのですが、「サント・アントニオ農園」は農園の大部分が自然の森のようになっています。その森の中にコーヒーの木が植わっているイメージです。

「サント・アントニオ農園」の森の中には、多種多様な木が植わっています。私も植物が好きで、日本でもよく植物園に行きます。しかし、ここ「サント・アントニオ農園」の森には、日本の植物園では絶対に見れないようなめずらしい木々を見ることができます。きっと熱帯に特有の木なんだと思います。同じ森でも、日本の森とは植生が全く違います。巨木もあって、ブラジルらしくすべてがダイナミックです。ポルトガル人が最初にブラジルに入植した時には、農園をするために、このジャングルと格闘したのだなと考えると、それは大変な苦労だったろうなと想像できます。

そんなエキゾチックな「サント・アントニオ農園」の森の木々をジョン・ネットさん、長男のジョアンジーニョと一緒に見に行くのも、本当に楽しい経験です。


こーひーたよりvol.247

私は、「森のコーヒー生産者グループ」のジョン・ネットさんの農園「サント・アントニオ農園」をコーヒー収穫の時期に訪問します。

朝、昼と農園をジョン・ネットさんと一緒に見回り、収穫作業を見学します。日が暮れると、ジョン・ネットさんが私を必ず連れて行く場所があります。農園の中で、ちょっと高台になっている場所があり、そこから農園全体が見渡せます。その場所に行って、日の入りを見るのが、毎年の恒例行事になっています。

日の入りは、ポルトガル語でPor do Sol(ポル・ド・ソル)といいます。サント・アントニオ農園で見るPor do Sol(ポル・ド・ソル)は、本当に美しく、長時間見ていても飽きません。

全く音のない世界で、ジョン・ネットさんとPor do Sol(ポル・ド・ソル)を見ていると、何とも言えず内省的な感覚になってきます。

日の入りの時間になると、昼暑かったことが嘘のように気温が下がってきます。肌寒く感じる時に、保温ポットに入れて持ってきた「森のコーヒー」を飲むのが楽しみです。

完全に太陽が隠れてしまうと、今度は空一面に星座が見えます。東京ではあまり星座を意識することがないのですが、ここ「サント・アントニオ農園」では、思わず星座に見入ってしまいます。


こーひーたよりvol.246

「森のコーヒー生産者グループ」のジョン・ネットさんは、もう6代続いているコーヒー農家です。最初からこのサンパウロ州モコカの地でコーヒー栽培を続けられています。奥様のヘナッタさんの一族も、コーヒー農園のオーナーでした。

ジョン・ネットさんの農園には、土曜日になると一族が集まってきます。サント・アニオ農園のゲストハウス内には、部屋がいくつもあるので、そこに土曜日の晩泊って、土日を農園で過ごすのです。

ジョン・ネットさんの長男のジョンジーニョは、フォルクスワーゲン社に勤めています。工業デザイナーの仕事をしています。奥様はエレンさん。エレンさんのお父さんはイタリア系ブラジル人で苗字はパシーニ。お母さんは日系2世です。(このエレンさんのお母さんが、私の上智大学ポルトガル語学科時代の恩師・ノエミア先生の妹さんだったのです。この偶然は、奇跡に近いです。)

この日も、ジョン・ネットさんの妹さんや、ジョンジーニョ、エレンさん、エレンさんの両親、ジョン・ネットさんの妹さんの息子、その他の親戚が集まりました。集まって別になにをするのでもなく、それぞれ好きなことをしています。そこがブラジル流だと思います。日本ですと何か法事などの目的があり、親戚が集まることがありますが、ブラジルでは何もなくても週末親戚が集まります。

そこに私のような、ジョン・ネット家の親戚でもない、いわばビジネス上の付き合いの関係者も居合わせたりするのですが、誰も何も言いません。ここら辺が、ブラジル人の社交好き、おおらかなところです。そういうところが好きになれると、ブラジル好きになります。あまり細かいことを言わないのがブラジル流です。


こーひーたよりvol.245

 「森のコーヒー生産者グループ」のジョン・ネットさんは、コーヒー農園に、コーヒー以外のいろいろな木を植えて、農園を“森”のようにしました。

ジョン・ネットさんは、馬、豚、と多種多様な動物を農園に入れています。植物もそうですが、ジョン・ネットさんは、動物でも“多種多様”が好きです。いろいろな動物がいた方が良い。その方が、より“大自然”に近い。より多くのVIDA(ヴィーダ 生命)を農園に入れたい。農薬に代表されるMORTE(モルチ 死)よりVIDAを追求する。

土の中の微生物にも、ジョン・ネットさんは注目しています。農薬を一切使用しないことで、地中に多種多様な微生物が棲息するようになります。もちろん目には見えないのですが、ジョン・ネットさんは、それこそ文字通り這いつくばって、農園の土を、その中にいる地中微生物を感じとろうしています。

そうやって、毎日、農園の土に触れたり、匂いを嗅いだりしていると、土の健康状態がわかるようになるんだそうです。健康な土に生えているコーヒーの木も、また、健康になるとジョン・ネットさんは言います。

現在の通常の農業が、きわめて限られた狭い視野からの、そして、きわめて短期的な評価に基づく “効率”のみの追求になってしまっている中で、ジョン・ネットさんは、森の多様性を生かし、自然とともに共生していく新しいコーヒー栽培を追求しているのです。


こーひーたよりvol.244

「森のコーヒー生産者グループ」の一人、Sr. Jose Nicacio Itagyba de Oliveira・通称イタジバさんの農園、オンダス・ダ・マンチケイラ農園は、あの高品質コーヒーが産出することで有名なカルモ・デ・ミナスにあります。この農園が始まったのは、なんと1850年、ブラジルの第二帝政時代でした。そして、現在のオーナー・イタジバさんが、この農園をオーガニック農園にしました。

イタジバさんは、カルモ・デ・ミナスの農協、コカリーベの組合員です。そのコカリーベの品質管理責任者が“ババ”さんことウェリントンさん。“ババ”さんというのは、あだ名で、ウェリントンさんが子供の時に、いつもよだれをたらしていた(ポルトガル語でババールという)ので、“ババ”のあだ名がついたそうです。

私が、コカリーベ農協で、コーヒー豆の買い付けをするときに、一番頼りになるのが、“ババ”さんです。私と一緒になって、農協のカッピングルーム(コーヒーの味見をする部屋)に立てこもって、何十ロットのコーヒーサンプルを一緒にカップしてくれます。彼の的確なアドバイスがあるので、私もコカリーベ農協で一番おいしいコーヒーを選ぶことができるのです。

 “ババ”さんは、カッピングルームだけではなく、農園を訪問するときも、一緒についてきてくれます。コーヒー生産者の間で信頼されている“ババ”さんが一緒に来てくれれば、生産者とのコミュニケーションもうまくゆきます。


こーひーたよりvol.243

「森のコーヒー生産者グループ」の一人、イタジバさんの農園・オンダス ダ マンチケイラ農園は、あの高品質コーヒーが産出することで有名なカルモデミナスにあります。

イタジバさんは、ゴイアス州の生まれで、4歳の時にサンパウロ州のフランカに移り住んだそうです。5歳の時にお父さんが亡くなって、そのため、若い時から外で働かなくてはならなかった。15歳から25歳の10年間、ジャカレイで日系人の農園で働いたそうです。そこで、農業をとても好きになったそうです。

その後、サンパウロで、ご自分の出版社を立ち上げて、出版事業をしていたのですが、インターネットが出てきて、ブラジルは出版不況になり、会社をたたまざるを得なくなった。

その後、ふたたび農業がやりたいと思い、カンピーナスのウニカンピ大学で1年、ピラセカバの大学でもう1年、オーガニック農業について学んだあと、このミナスジェライス州のカルモデミナスのコーヒー農園を買って、オーガニックコーヒーを作り始めたそうです。

オーガニックの堆肥を作り、コーヒー農園に撒いています。堆肥の作り方にも、イタジバさんの独特のノウハウがあるそうです。農園の標高は1,100~1,400mあり、16のプロットに分けられています。

乾燥用のテラスは4つあり、そのうち、1つはコンクリートの床、2つが煉瓦作りの床、そして高品質コーヒー用のアフリカンベッド(高床式乾燥棚)の乾燥場があります。

イタジバさんは、大学できちっとオーガニック農業の理論を学ばれていますので、非常に論理的な農業をやっています。トレーサビリティもしっかりとしており、一つの仕事をするごとに、きちっと記録をとっています。


こーひーたよりvol.242

「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーの一人、エンリケ・スローパーさんは、有機栽培の中でも、“バイオダイナミック農法”という農法でコーヒーを栽培しています。

バイオダイナミック農法では、太陽、月、惑星と地球の位置関係が土壌や生命体の成分及び気象等に与える影響を重視して、種まき、苗植え、耕うん、調合剤の準備や施肥、収穫などの時期を天体の動きにあわせて選択します。また、土壌バランスや植物を健康に保ちつつ効果的な収穫をあげるためのコンディショナーとして、人為的な化学物質はいっさい使用しないかわりに、天然のハーブや鉱物、家畜を利用して作った各種調合剤を施します。

調合剤の役目は、地球の大地が本来持っている「自らを調和することができる力」を与えるためのものです。材料はそれぞれの調合剤によって異なりますが、具体的には「水晶」「カモミール」「ノコギリソウ」「たんぽぽ」「雌牛の角」などを使用します。

例えば、501番の調合剤は「水晶の調合剤」といわれ、水晶をベースに作られます。そして次のような作用をもたらすとされています。

・植物の光新陳代謝を増強させる。・光合成と葉緑素の構成を刺激する・作物の色、芳香、風味を良くする。・作物の品質と栄養価を保つ。・病気や害虫に対する抵抗力を高める。 ・太陽と関係する。

これら調合剤を使用することにより、農薬・化学肥料不使用であったとしても「作物本来が持つエネルギー」を最大限に引き出すことが出来るのです。


こーひーたよりvol.241

「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーの一人、エンリケ・スローパーさんは、有機栽培の中でも、“バイオダイナミック農法”という農法でコーヒーを栽培しています。

エンリケさんの農園「カモシン農園」が最初に世界的に有名になったきっかけは、通常の有機栽培のコーヒーではなく、実は、有機は有機なのですが、「ジャクー鳥のコーヒー」でした。ジャクー鳥は、ホウカンチョウ科の鳥で、雉の仲間です。主に熱帯雨林に生息しています。エンリケさんの農園・「カモシン農園」は、このジャクー鳥の一種の保護区のようになっているのです。

ジャクー鳥は、カモシン農園に飛来し、コーヒーの果実を食べます。そして、ジャクー鳥の糞からコーヒー豆を採取しています。これが、「ジャクー鳥のコーヒー」です。

インドネシアに「コピ・ルアク」という有名なコーヒーがあります。これは主にインドネシアに生息するジャコウネコの糞から採取したコーヒー豆です。独特の香りとコクがあり、産出量が少ないため高値で取引されています。ただし近年、「コピ・ルアク」は、ジャコウネコを檻に入れて、無理やりコーヒーチェリーを食べさせているというような動物愛護団体からの批判があります。「ジャクー鳥のコーヒー」の場合には、そんなことは全くなく、ジャクー鳥たちは、農園の中を自由に飛び回っています。

カモシン農園でできるコーヒーの中で、「ジャクー鳥のコーヒー」の占める割合は、ほんの一部です。ただ、オーナーのエンリケさんは、「ジャクー鳥のコーヒー」が、カモシン農園がオーガニックであるということと、自然を大事にしているということの象徴的な商品であるという理由で、この商品を大事にしています。
(※(注意)「森のコーヒー」に使用しているカモシン農園のコーヒーは、「ジャクー鳥のコーヒー」ではありません。当社では、「ジャクー鳥のコーヒー」は買付していません。)


こーひーたよりvol.240

「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーの一人、エンリケ・スローパーさんは、有機栽培の中でも、“バイオダイナミック農法”という農法でコーヒーを栽培しています。

エンリケさんが、特にこだわりをもって栽培しているコーヒーの品種が“BourbonAmarelo”(黄色いブルボン品種・イエローブルボン)です。“ブルボン”と呼ばれるコーヒー品種は、フランスの宣教師が、1700年代の初頭にイエメンから当時のブルボン島(現在のレウニオン島)に持ち込み、そこから現在のブルボンの名が付きました。19世紀の中頃までは、ブルボン品種のコーヒーが島から持ち出されることはなかったのですが、1800年代の初頭に、宣教師達が、アフリカとアメリカ大陸に渡ったと共に、持ち出されてゆきました。ブラジルに、ブルボンが持ち込まれたのが1860年。そこから南アメリカ、中央アメリカにも紹介されてゆきました。

エンリケさんがカモシン農園に植えてる品種は、イエローブルボンの他には、「イアパール59」「カテゥアイ」「イカテュ」「カテュカイ」「ムンドノーボ」「カテュカイ・アス」などです。これらの違った品種を植える理由は、それによって収穫時期をずらし(品種によって、早生、晩生があるため)、収穫作業の時期が集中するのを避けるためです。

イエローブルボンの特徴は、その素晴らしいカップクオリティー(コーヒーが液体になったときの美味しさ)です。ただし、生産性は低く、病中害にも弱いという弱点があります。エンリケさんが、今でもイエローブルボンにこだわって栽培を続けている理由は、なんと言ってもその美味しさです。他の生産者が、より高い生産性、病中害対策品種をどんどん植えているなか、あくまでもイエローブルボンにこだわるエンリケさんの姿勢には、本当に頭が下がります。


こーひーたよりvol.239

「森のコーヒー生産者グループ」のジョン・ネットさんは、6代続いているコーヒー農家です。最初からこのサンパウロ州モコカの地でコーヒー栽培を続けられています。

ジョン・ネットさんが、農薬不使用・化学肥料不使用の“大自然農法”で、コーヒーを栽培してきた「サント・アントニオ農園」。その歴史の中で、何が一番難しかったかと訊くと、「一番難しかったのは、この農法でコーヒー栽培を続けていくのに、農園のスタッフも、うまくいくのかどうか疑っていたし、私の家族でさえも疑っていた。その疑いの中で、農園経営を続けていくのが、一番大変だった。」と語っています。

ジョン・ネットさんに昔の写真アルバムを見せてもらいました。そこに写っていたのは、ジョン・ネットさんがまだ若く、お父さんや親戚と写っている写真です。そこの写っている「サント・アントニオ農園」の姿は、今の“森”のようなものではなく、普通のブラジルのコーヒー単作の農園です。

ここから、ジョン・ネットさんは、「サント・アントニオ農園」を今のような姿に変えてきました。家族、親戚、農園スタッフもさぞ、心配したと思います。考え方が、あまりにも通常のブラジルのコーヒー農園と違うからです。

ジョン・ネットさんの「自然と共生する」という考え方で作った「サント・アントニオ農園」。ジョン・ネットさんが数々の人の反対を押し切って作った、まるで“森”のような、“森のコーヒー”の農園なのです。


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