森のこーひーたより~生産者の顔と声~ 森のコーヒー生産者のコーヒー農園へ訪問した時の現地の様子やコーヒーへのこだわり、パートナーの皆さんの暮らしをレポートします。

こーひーたよりvol.205

「森のコーヒー生産者グループ」のジョン・ネットさんの農園を訪問した時には、かならずジョン・ネットさん、農園のスタッフと一緒に、その年に採れたコーヒーをカッピング(コーヒーの味見)します。

それは、私もジョン・ネットさんも農園のスタッフも、コーヒーにとって品質(味の良し悪し)が極めて重要だと思っているからなのです。

もちろん農薬不使用、化学肥料不使用などの安心、安全、サステナブルなコーヒーの作り方も、とても重要です。ですが、やはり人はおいしいコーヒーを飲みたいもの。おいしいコーヒーを飲むと、自然に笑顔がこぼれてしまうくらいです。

カッピングには、毎年、農園の管理責任者のOrlando Araujo da Silva Filho 氏(いつもはオルランドさんと呼んでいます。)、ジョン・ネットさんの長男のジョアンジーニョ、嫁のエレンさんが参加します。この年は、次女のマルことマリア・ルイーザは、エデゥアルドが生まれた為、彼の世話があり参加できませんでした。

自分の作っているコーヒーが、どのような味の特徴があって、どのように評価されているか、を知ることはとても重要です。

そのために毎年私が、ほかの「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーのコーヒー、そのほかのブラジルのスペシャルティコーヒーのサンプルを持参して、「サント・アントニオ農園」のコーヒーの横に並べて比較してもらいます。そのような方法で、自分のコーヒーの風味特徴、品質のレベルというものをわかってもらうのです。

こーひーたよりvol.204

「森のコーヒー生産者グループ」のジョン・ネットさんは、コーヒー農園に、コーヒー以外のいろいろな木を植えて、農園を”森”のようにしました。

ジョン・ネットさんは、馬、豚、と多種多様な動物を農園に入れています。 植物もそうですが、ジョン・ネットさんは、動物でも”多種多様”が好きです。いろいろな動物がいた方が良い。そのほうが、より”大自然”に近い。より多くのVIDA(ヴィーダ 生命)を農園に入れたい。農薬に代表されるMORTE(モルチ 死)よりVIDAを追求する。

土の中の微生物にも、ジョン・ネットさんは注目しています。農薬を一切使用しないことで、地中に多種多様な微生物が棲息するようになります。もちろん目には見えないのですが、ジョン・ネットさんは、それこそ文字通り這いつくばって農園の土を、その中にいる地中微生物を感じようとしています。

そうやって、毎日、農園の土に触れたり、においを嗅いだりしていると、土の健康状態がわかるようになるんだそうです。健康な土に生えている珈琲の木も、また、健康になるとジョン・ネットさんは言います。

こーひーたよりvol.202

「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーは皆、化学肥料不使用で、農薬を一切使用せずにコーヒーを作っているので、農場内の生物多様性はとても豊かです。

グループの中でも、ジョン・ネットさんの「サント・アントニオ農園」の生物多様性は、別格です。

ジョンさんは、私によく言うのですが、

「うちの農園では、たくさんの社員を雇っている。そこの蟻もウチの社員だし、そこのミツバチもウチの社員だ。やぎの社員もいるし、牛、馬もいる。それから豚もいる。みんな働き者だから、私は楽でいい。」

つまり、コーヒーの栽培は、人間だけがやるのではなく、農園内の自然を総動員してやるものだと言うのです。

人間と自然を対立的にみて、どうやったら効率的に自然をコントロールして農業ができるか、と考えるのが、現代の近代農法です。

ジョン・ネットさんは、人間も自然の一部なので、どうやったら自然といっしょになって、自然と協力して農業ができるか、という風に考えています。

こーひーたよりvol.201

「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーの一人、エンリケ・スローパーさんは、有機栽培の中でも、一風変わった“バイオダイナミック農法”という農法でコーヒーを栽培しています。

“バイオダイナミック農法”は、ドイツで神智主義のルドルフ・シュタイナーが提唱した農法で、農薬と化学肥料を使用しないのは勿論のこと、土壌と植物、動物の相互作用だけでなく、天体の動きにも着目した農業を行います。

エンリケさんは言います。
「バイオダイナミックというのは、オーガニック以上のものなんだ。まず、オーガニック農法をやっていなければ、バイオダイナミック農法はできない。オーガニック農法をやった上で、バイオダイナミック農法を実施することで、コーヒーの木の健康状態はより良くなるし、コーヒーの品質も良くなる。簡単に言うと、農業を自然のサイクルに合わせるということなんだ。バイオダイナミックの農業歴には、月、星、十二宮図の状態が記載されていて、それに合わせて農業をやるのさ。」

今年から、バイオダイナミック農法の農学者・ロベルタ トレーズマンさんが農園の運営チームに入りました。彼女は、ブラジルのバイオダイナミックの本部で研修した本格派です。ロベルタが農園のメンバーを集めて、バイオダイナミック農法の基本的な考え方の講義をしてくれました。皆、真剣な顔で聞いていましたが、私は半信半疑で聞いていました。

こーひーたよりvol.200

「森のコーヒー生産者グループ」の一人、イタジバさんの農園・オンダス ダ マンチケイラ農園は、あの高品質コーヒーが産出することで有名なカルモ・デ・ミナスにあります。この農園が始まったのは、なんと1850年。ブラジルの第二帝政時代でした。現在のオーナー・イタジバさんが、この農園をオーガニック農園にしました。

化学肥料を使用しないため、オーガニックの堆肥を作り、コーヒー農園に撒いています。堆肥の作り方にも、イタジバさんの独特のノウハウがあるそうです。農園の標高は1,100~1,400mあり、16のプロットに分けられています。

イタジバさんが植えているコーヒーの品種は、イエローブルボン、イエローカテュアイ、ムンドノーボ、アカイなどです。農園には、25万本のコーヒーの木が植わっています。収穫は手作業で行われ、中米のようなselective picking(完熟の実のみ選んで手作業で収穫)を実施しています。

乾燥用のテラスは4つあり、そのうち、1つはコンクリートの床、2つが煉瓦作りの床、そして高品質コーヒー用のアフリカンベッド(高床式乾燥棚)の乾燥場があります。

農園内には、従業員用の近代的な家が17あります。すべての家で、ちゃんとお湯のシャワーが出るようになっています。また、全員が自分用の有機菜園を持っていて、さらに鶏も飼えるようになっています。

イタジバさんが、これからどんな品質のコーヒーを作ってくれるのか、楽しみです。

こーひーたよりvol.199

「今アメリカで、ものすごく流行っているのが”コールドブリュー”です。日本語で言うと、「水出しコーヒー」。この”コールドブリュー”に窒素を入れた”Nitro Cold Brew”というメニューがアメリカでは大流行なのです。

この夏、カフェーパウリスタ銀座店でも新メニューとして、この”Nitro Cold Brew”を「ドラフトコーヒー」という名前で発売しており、沢山のご注文を頂いております。

「森のコーヒー生産者グループ」のジョン・ネットさんの農園を訪問した時に、ジョン・ネットさんの長男のジョアンジーニョが、私のために「森のコーヒー」のコールドブリューを作ってくれました。彼はブラジルのフォルクスワーゲン社に勤めていて、工業デザインが専門で、新し物好きな男です。

彼の作る「森のコーヒー」コールドブリューの作り方は、
 ①-まず、「森のコーヒー」の粉をジャグに入れ、その上から水を注ぎ、
 水出しの「森のコーヒー」をつくる。
 ②-水出しの「森のコーヒー」の入ったジャグを、冷暗所の棚に入れて一晩置く。
 ③-翌日、ジャグを棚から出し、ネルを使用して、コーヒーの液体だけを濾す。
 ④-濾されたコーヒーの液体をグラスに入れ、氷とトニックウォーターをいれて出来上がり。

ジョアンジーニョが作ってくれた「森のコーヒー」コールドブリューを飲んでみると、とても爽やかで、暑い夏の日にはぴったりのドリンクでした。

こーひーたよりvol.198

「森のコーヒー生産者グループ」のメンバーに加えたい生産者がいます。アレクリン・ドウラード農園のウィルソンとルシエニ夫婦です。

カルモ・デ・ミナスに位置するアレクリン・ドウラード農園で、ウィルソンとルシエニ夫婦は、以前より野菜や青物、果物を無農薬・無化学肥料栽培で作っていました。無農薬・無化学肥料栽培でコーヒーを作り始めたのは、2013年のことです。

作った無農薬・無化学肥料栽培の野菜や青物、果物、コーヒーは、フェイラと呼ばれる町のマーケットで売っていました。
しかし、彼らは小作農で、農園のオーナーは他にいました。ある時オーナーがウィルソン夫婦に言いました。農園を売るから出ていってほしいと。

夫婦は長年、彼らの作る無農薬の食品のお客さんだった、大学教授のグゥト氏に相談しました。グゥト氏は、ウィルソン夫婦の作る無農薬の野菜・果物・コーヒーが好きだったので、農園のオーナーに交渉して、彼が農園を買い取ることにしました。
このことによって、ウィルソン夫婦は、無農薬・無化学肥料栽培のコーヒー作りを継続することができるようになりました。グゥト氏はいつか、ウィルソン夫婦がお金を貯めることができたなら、農園を彼らに売りたいと思っています。

ウィルソン夫婦のコーヒーは、フルーツを想わせる香味、素晴らしく明るく、爽やかな酸味、甘さで終わる後味を持っています。

こーひーたよりvol.197

「森のコーヒー生産者グループ」の一人、クラウディオ・カルネイロさんの農園「ファゼンダ パイシャウン」は、あのスペシャルティコーヒーの産地として有名なカルモ・デ・ミナスにあります。

クラウディオさんは、2010年の国際コーヒー品質審査会(カップ・オブ・エクセレンス)のブラジル部門で、93.91点の高得点を獲得して、 第一位の栄冠に輝いた篤農家です。

クラウディオさんは、根っからのオーガニック(有機)コーヒーの生産者です。
クラウディオさんのお母さんが、農薬を使用しない有機栽培の食品にこだわっていて、その強い影響で、クラウディオさんも無農薬・有機栽培コーヒーを作るようになったと語ってくれました。

「儂は根っからのオーガニック生産者じゃ。生き方からしてオーガニックじゃから、もしIBD(ブラジルのバイオダイナミック研究所)のような有機認定業者が、儂のコーヒーを有機に認定しなくても有機栽培コーヒーを作り続けるよ。」(IBDが有機認定しなくなる可能性があるという意味ではなく、認定業者に関係なく、誰に認められなくても有機栽培コーヒーを作り続けるという意味。解説・長谷川)

生き方からしてオーガニックだと言うクラウディオさんは、お嬢さんが2人います。彼女たちも、ご自分で事業をしています。
それは有機のジャムやデザートの製造販売です。ブラジルのお菓子の中で、一番人気のゴイアバーダ(赤いグァバを砂糖と共に煮込んだお菓子)をはじめとして、色々な有機野菜、有機果物のジャムを作っています。
ファミリーで有機に邁進するクラウディオさんなのです。

こーひーたよりvol.196

「森のコーヒ―生産者グループ」のメンバーの大部分の生産者は、堆肥を作っています。

特に「森のコ-ヒー生産者グループ」のリカルド・アギアールさんは、コーヒーの落ち葉、コーヒー豆から脱穀した果肉、農園内で飼育している豚や牛、馬の糞尿を混ぜ合わせています。それを微生物の力で好気的に分解して”堆肥”を作っています。(好気的というのは、酸素を使って微生物が有機物を分解することです。)

堆肥を使うと、土の中の有機物が増えて、団粒化がすすみ、土が軟らかくなります。
農薬、化学肥料を使用したコーヒー農園で、地面がカッチンカッチンに固いのをよく見かけますが、それとは全く違うフカフカの土になります。

また、堆肥には、窒素・リン・カリウム・カルシウム・マグネシウムなどの多量要素だけでなく、鉄・亜鉛・銅・マンガンなどの微量要素も含んでおり、コーヒーの木に対する、より総合的な養分の供給になります。

土の中には、1グラムの中に約1億の微生物がいると言われていますが、養分の少ない土壌の中ではその活動を停止しています。ところが、堆肥のようなエサになる物質が入ってくると、そこから栄養をとり急激に増殖します。こうして土の中に多様な微生物が増え、土壌が改善されます。

リカルドさんの農園では、大量の堆肥を必要とするため、ブルドーザーを使用して堆肥の切り返し作業を繰り返し、堆肥化を進め、品質の良い堆肥を作っています。

こーひーたよりvol.195

コーヒーの木の発祥はアフリカ、エチオピアのジャングルの中といわれています。 1727年にフランス領ギアナより、ブラジル北部アマゾン川の南、パラ州にコーヒーが持ち込まれ、ブラジルでのコーヒー栽培が始まりました。

ブラジルでのコーヒー栽培方法と、エチオピアでのコーヒーの在り方は、大きく違っています。 ブラジルの大半の農園では、直射日光の当たる農園に、コーヒーのみが単作で、びっしりと植えられています。 ブラジルでは、このような農法をフルサン(full Sun)農法と呼んでいます。

もともとエチオピアでは、コーヒーは他の木の日陰で育っている木です。 直射日光が当たるブラジルの農園の環境では、コーヒーの木にストレスを与え、木が弱くなるという側面があります。
しかし反面、赤道からの距離が遠いブラジルでは、フルサン農法でないと、太賜光が十分ではないという側面もあります。

そこで「森のコーヒー生産者グループ」のリカルド・アギアールさんは、農園内に、日陰樹(ひいんじゅ)(またはシェードツリー)を植えた大規模なプロットを作って、どちらがコーヒーにとってより良い環境なのか、実験をしています。
日陰樹とは、コーヒーの木を直射日光から守るため、日傘のような役割をさせるために植える木のことです。通常、土壌の水分を大量に必要とせず、適度に陽射しを通すことのできるマメ科の高木樹を植えます。 リカルドさんは、日傘の役割をさせるためと、生物多様性を作るために多種多様なシェードツリーを植えています。

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